日々の身繕いでイツノマニカ体内に生成される毛玉のハナシ


by neko-dama
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てぃぴかるイスラエリ。

旅をしていると、他のいろんな国の旅人と知り合う。

 同じドミトリーで暮らすメンバーはイングリッシュのカレンちゃんとオランダのレーカちゃんと、イスラエリのヒラちゃん。このメンツで過ごした時期は、まさにパーフェクトだった。皆いいヤツで、互いに相手を知ろうと時間をかけて話したものだった。

 イスラエリのヒラちゃんが始めてドミ(ドミトリーのこと)に来た日、旅人間のご挨拶「どちらから?」を私からしてみた。「イスラエルよ」とヒラちゃん。「え?」と驚く私。だってヒラちゃんはちっともイスラエリっぽくなかったのだ。外見的には髪も肌も睫も明るいし、ぼんやりとした可愛い顔だちで、どっちかって言うと華奢。後に判る事だが、性格も控えめで協調性があり心優しい。

 ヒラちゃんに言わせると「らしくないって、よく言われるの。でも私は何故かイスラエリよ」だそうです。そして私のことも「あなただって、日本人らしくないわ。嘘でしょ?」と言われましたが。私も何故か日本人なのです。お互い様でした。

 ヒラちゃんは少し変わったところもあった。夕食準備していると、一人でマッシュルームの皮(皮なんてあるのか?)を剥いていたりした。何をしているのか、と問うと「洗えば良いのだけど共同キッチンに行くのが面倒で。だから剥いてるの。」と。水場のあるキッチンは歩いて5部屋分向こうだけど、遠くはないし混んでもいないのに。

 でも、マッシュルームの皮を剥いても人に迷惑をかけるでなし。ヒラちゃんは人に迷惑をかけないタイプの人だった。料理が終わればきちんとその場を片付けるし、食べた後もさっさと片付けるし、身の回りを整頓して部屋を散らかさないでいてくれた。

 え?アタリマエ?いやいや、旅人暮らしではそこが最も大事な資質。散らかし屋と同じドミにはいたくない。結構いるのよ。食後の食器を片付け忘れて放置しとくヤツとか。誰が片付けるかって言うと、耐え切れなくなった私だ。最初は注意するけども度重なると面倒になっちゃうんだよね。

 二つ向こうのドミにはイスラエリ・ボーイズがいた。二人とも典型的なイスラエリだった。外見はダークで、眉がはっきりと太く、彫りの深い顔だち。そして我が強く、協調性がなく、とても頑固。人に迷惑をかけることも意に介さないようだった。これぞ、イスラエリ。They're typical.(彼らは典型的ね)

 私だけの意見ではございませんことよ。宿の旅人はみんな、イスラエリは頑固で自己中な人しか会ったことがない!と言っていました。それだけに、ヒラちゃんの存在は皆を驚かせた。らしくない、というわけだ。ヒラちゃんはイスラエリ・ボーイズには自ら近づかず、たいてい私たちドミの女性とつるんでいた。

 あるとき、私は隣のドミに遊びに行き、ロビー・ウィリアムズの歌詞の意味を考えていた。そこにはイスラエリ・ボーイズも遊びに来ていて、他にも数名が各々話をしていた。私はどうしてもわからない一行に困っていた。

Sing me a love song
Drop me a line

ラヴソングを歌って
線を落として???


 するとイスラエリ・ボーイズの片割れが「どこかわからないの?」と声をかけてきた。声でけーよ、と思いながら素直にココはどういう意味?と訊いた。えーと"line"は"台詞"って意味だから、「言葉をかけてくれ」って意味だよ!前の文とも合うし。

 確かに辞書には台詞・短い言葉って意味も出ていたので、納得しそうになった。が、それを聞いていたイングリッシュの女性が「そうじゃないよ」と教えてくれた。彼女がいなかったら、間違えて覚え続けていただろうな。これは決まり文句で「手紙を書いて」って意味なのだそうだ。ここでの"line"は"一筆"の意味で使われていた。keep in touch(連絡ちょうだい)と同じように使われる言葉で、「手紙でもメールでも何か連絡をちょうだい」ってニュアンスなのらしい。

僕にラヴソングを歌って
何か連絡をくれ


はい、解けた!

 ありがとう、と二人に礼を言って続きを読もうとした。が、イスラエリは引き下がらなかった。

「でも、僕は間違ってないと思う。歌の意味として自然だし、うんたらかんたらなんちゃっちゃ・・・」

 イングリッシュの女性は呆れ顔。だって英語の決まり文句で、そういうことになっているのだから。こんなことで意固地になられても困る。延々自説を主張するイスラエリに、その場はさーっと引いていった。

 私は、立ち上がって自分のドミに帰った。"He's so typical!"
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by neko-dama | 2008-12-18 12:25 | 猫のお出かけ