日々の身繕いでイツノマニカ体内に生成される毛玉のハナシ


by neko-dama
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『盗まれた街』読んだ。

『盗まれた街』

原題:"The body snatchers"
著者:ジャック・フィニイ Jack Finney 福島正実・訳
ハヤカワ文庫 2007年9月20日印刷 2007年9月25日発行
※1979年3月刊行のものの新装版

1955年に発表されたSFサスペンス小説。現在までに4度映画化されている。

『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956年)
『SF/ボディ・スナッチャー』(1978年)
『ボディ・スナッチャーズ』(1993年)
『インベージョン』(2007年)


 映画は2作目と4作目はしっかり記憶に残ってます。が、1作目は未見、3作目は記憶があやふやな有様。2作目(78年版)は結構原作の雰囲気に忠実でした。映像と音楽の効果が不気味さを醸してて良かったですよ。ただ、結末はまったく違っていて、そこは原作の方が好きでした。

 ジャック・フィニイの本を読んだの、初めてでした。緻密で、不思議で、不気味で、SFでありながらとても懐かしくて身近な雰囲気が漂う。これはすごい作家さんだ。他の著作も徐々に読んでいこうと思います。

 宇宙を旅する豆サヤ。たどり着いた惑星の生物を完コピしちゃう特殊な生命力。次々と着実に豆サヤは人間に変わっていく。ひとつの町が終わったら、次は隣の町をいくつか。そうやって勢力を拡大していく。

 豆サヤのイメージはとてもアナログで身近で、でもそれが未知の恐怖で。そんな夢みたいな感覚。それはちょうどこの話の中で、周りのよく知った人々が記憶も仕草もそのままに別人になってしまった違和感、居心地の悪さと通じるもの。

 小説自体は古いけれど、人間て感情がなかったら平和なんじゃね?的なテーゼとアンチテーゼの葛藤は今に通じるものですね。主人公達も葛藤します。「今の私と何も変わらないなら、豆サヤ人になっても良いのでは?闘うことは無意味では?」、「彼らに感情、情熱がなくなっていることに気づいたか?」「それではあなたを愛する気持ちはなくなってしまうの?」といった感じに。愛情がなくなることから派生してある疑問も浮かびます。「生殖は可能なのか?」

 今もどこかで説明の付かない不思議な出来事が起こっているかも知れない。誰も信じようとしないような素っ頓狂な現実が、あるのかもしれない。そんな余韻の残る、そして豆サヤの群れが飛行する様が目に見えるような、感慨深いラストでした。

 さすがに4度も映画化されるだけあって、着想の奇抜さを日常に落とし込んだ感じが素晴らしいSFホラー小説でした。ただ、訳文が古いままでの新装版だったので残念。新訳版が出ていたら、そっちを選んだ方が良いです。日本語、ところどころ、ちょと、違和感アルヨ。
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by neko-dama | 2009-01-27 17:53 | 猫の図書館/美術館