日々の身繕いでイツノマニカ体内に生成される毛玉のハナシ


by neko-dama
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パウロ・コエーリョの世界。

初めてパウロ・コエーリョの本を読んだのは、2000年だった。その頃には彼は既に世界的なベストセラー作家で有名人だった。
最初に読んだのは『The Alchemist』 (邦題:アルケミスト)

あたしは、ニュージーランドを放浪中で、その日はケリケリという町に行くために長距離バスに乗っていた。かの国は観光に関することが驚くほど発達している。バスのチケットを買うのは簡単だ。

あたし    「ケリケリまで、1人やねんけどー。片道でお願い。」
おねいさん 「OK!KERI KERIiねん。はいよ。バスもうすぐ来るから
        それに乗る?空きがあるか交渉してあげるさかい。」
あたし    「わーい。助かりま。よろしく頼んます。」

ちゅーわけで、あたしはKERI KERIに行きたかったし、チケットの汚い字は
KERI KERIに見えた。でも、数時間後、運ちゃんが着いたよって言ったのは・・・
KATI KATIですから~~残念!
この2つの地名、Nativeの汚い筆記体で書くとわからないです。
しかも、イギリス系国民の方々の発音は、この2つ、よく似ていて聞き分け困難。

・・・まったく、あさっての方向に行っちゃった。
でも、運ちゃんに事情を話したら、すっごく親身になって面倒をみてくれた。

運ちゃん 「今日は長い1日になるな?おいちゃん終点まで着いたらこのバス回送で
       オークランド(北島で2番目の大都市)まで戻るから。
       一緒に乗って帰ろうね。そこからケリケリまでのバス、おいちゃんが
       予約しとくからね。い~~んだよ。あ、そのバスは明朝だから、
       今晩のオークランドの宿も予約しとくからな。」

という、おいちゃんのご厚意により、その予約してくれた宿の前でバスを降りた。
その宿で出会ったドイツ人のウーヴァ。
彼と会って話したのは、その夜の数時間だけ。だけど、互いの旅の幸運を祈って
さよならをする間際に、彼はバックパックから1冊の古びた本(というかペーパーバック)を取り出し、あたしに差し出した。ちなみに彼は、車ごと荷物を全部盗まれた直後で、そのバックパックが持ちもののすべてだった。

ウーヴァ 「この本を読んでくれたら、僕って人間を理解してもらえると思う。
       キミは、この本がわかる人だよ。絶対に読むべきさ。」

あたしは、素直に本をもらって読みふけった。
読後、心に爽やかな風が吹くような感動を覚えた。
そしてウーヴァを思い出した。もう会うこともないであろう、すれ違いの旅人。
彼という人がわかったような気がした。そして彼が言った「この本がわかる人」という意味もわかった気がした。

その後、この『The Alchemist』はボロボロになりながら、あたしの手から他の旅人の手へ。その旅人も、読後に別の旅人に譲った。そのようにして旅をするのが、この本には相応しい事と思えた。

今もあの本は、旅人から旅人へと旅をしているのだろうか。
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by neko-dama | 2005-01-21 23:23 | 猫の図書館/美術館