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日々の身繕いでイツノマニカ体内に生成される毛玉のハナシ


by neko-dama
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遺失物。

ここのところ、いろんな文を書く気が起こらなかったのには、理由がありました。
理由っていうほど大層なものではないんだけども。

何を書いても自分がイヤになるばかり。

自分の信念は、違った視点から見るとマイナスな要素を持っている。
自分の思いは、そのマイナスを超えられない。
何を言っても、何を書いても、なんだかモヤモヤするだけだ。
自らの傲慢さ、独断と偏見と、個の限界と、そういった総てに向き合わなくてはならない。

わかっては、いるはずなんだけど。
それは、常に、そういうものだ、と。
ヒトはそういう生き物なのだと。






先日、改めて思ったことがあった。

「他人にやさしく」

と。

最近の私は、まったくできていないのだ。
以前なら、脊髄反射でやっていたようなオセッカイが、できていない。
一体いつから自分はこんな風になってしまったのだ、と気づいて愕然とした。
多分、ここ1年くらいの変化だろう。
しかし、なぜ?

失くしたモノを取り戻すため、私は探し歩いた。
すると、辿り着いた場所には。

自分に厳しくあれ。
無知は罪なり。
自己判断、自己責任。

そんな言葉ばかりが漂っていた。
それは正しいのだけど、あたたかくはなかった。
荒涼とした場所に感じた。

いや、これはこれで良いのだ。
でも、これだけじゃ足りない。
きっと、この奥に手がかりがあるんじゃないか。
私は四角い言葉たちを払いのけながら、前に進んだ。

チェシャ猫が半透明ににやついていた。
「お前はそんなに、わけ知りかね?」

いや、私は無知だ。
持っている知識なんて、ほんの一握だ。
そして、人類の持てる知識だってタカが知れている。

「お前は失敗をしないかね。」

いや。ヘマばっかりだ。
あれこれ忘れたり、間違えたりの繰り返しだ。

「では、お前には何が必要か。」
チェシャ猫はニヤケ顔を上下さかさまにした。今はハッキリとした実態だ。

知らないことを教えてくれる誰か、何か。
忘れたことを思い出させてくれる誰か、何か。
間違いを指摘してくれる誰か、何か。
間違いを許してくれる誰か、何か。

すると、扉が開いた。

扉の向こうには鏡があった。
自分に厳しくした分を、他人にも求めていなかったか?

自分が知らないことは、教えてほしいと思うだろう。
もちろん、自分で調べたり考えたりしたほうが良いだろうけど、タイミングってものがある。
知らないほうが悪い、きちんと調べないほうが悪い、学ばないほうが悪い、自己責任だ。
そんな風に考えていたら、「やさしさ」はどんどん逃げていく。

「あるべき姿」は、自分だけのものだ。
他人に厳しくして、どうする。
ましてや、自分だって「あるべき姿」を実現できていないではないか。

個の限界を知り、お互いを補い合う。許しあう。
それは誰でもできることのはずだ。
気づきさえ、すれば。
ただ、気づこうと思わなければ、気づけないのだ。永遠に。これはすべてに関して言える。

そして、気づければそれで良いってものでもない。
人の価値は、思想で決まるんじゃない。どう行動するかで決まる。
実行あるのみ、なんである。
by neko-dama | 2006-10-20 06:47 | 猫的哲学