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日々の身繕いでイツノマニカ体内に生成される毛玉のハナシ


by neko-dama
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Would you like cuppa?

ニュージーランドにいたとき、同じ宿の住人がお茶に呼んでくれたことがあった。

部屋がたくさん並んでいて、
時々お互いの部屋でお茶したり、
もっと頻繁にはテラス(単に外のベンチだけど)でお茶してた。

各自の部屋といっても、私はドミトリーに住み着いていたので、同居人はクルクル変わった。
ドミトリーはまぁ所謂雑居部屋で、私がいたのは最大6人の部屋。小規模な方だ。

で、住み着いている人ってのも決まっていて、何年もその宿に住んでいる。
たいてい、一人部屋とか夫婦部屋とかトレーラーとかで、みんな世話好き。

そんな中のひとり、ジョンという30代前半かと思われる男性がトレーラーに6年ほど住んでいた。
ジョンはいいやつ。
旅人と話すのが大好きだ。
仕事は季節労働。
あまりハードな肉体労働はできない。
両手にステッキを持っているからだ。
そう、足に力がない。
でもちゃんと一人で、自分の面倒は自分でみて暮らしていた。

ジョンは人当たりが良く、相手がイングリッシュ・スピーカーでないときは最大限ゆっくり喋ってくれるし、
コチラの言うこともじっくり耳を傾けてくれ、英語が間違っている場合は丁寧に教えてくれた。

普段は私のいた部屋にノックしてきて、そこでお茶が始まった。
私は緑茶や玄米茶のティーバッグをたくさん持って行っていて、
ジョンにもそれを淹れることがあった。
ジョンは緑茶が好き。
玄米茶やほうじ茶には顔を顰めていたが、緑茶は催促するほど好きだった。

ある日、お茶の話題になり、
「スパイシーチャイは美味しい」とジョンが言った。
その頃、そんな飲み物は知らなかったので、なにそれ?ときくと。
「チャイに黒胡椒やガラムマサラをいれるの。そうだ、いつもお茶をご馳走になってるから
僕のトレーラーにお呼ばれされたら?作るよ、おいしいよ。」
と。
黒胡椒??
それって美味しいの?
と思いつつ、お言葉に甘えた。

ジョンはゆっくりと慎重に鍋や火を扱い、ほとんど手伝いは必要なかった。
鍋にミルクとお湯を沸かし、そこに茶葉を投入。
しかるのち黒胡椒、カルダモン、マサラ、砂糖なんかを入れていき、ひと煮立ちさせて出来上がり。

宿のマグカップに茶漉しをセットし、ゆっくり注ぐ。
ふぅわりとスパイシーな湯気が漂い、集まった人はにっこりする。
飲んでみると、甘さとスパイスが溶け合って美味しい。
顔をあげると、ジョンの得意げな笑顔があった。
by neko-dama | 2007-07-18 10:59 | キウイ