日々の身繕いでイツノマニカ体内に生成される毛玉のハナシ


by neko-dama
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カテゴリ:猫の図書館/美術館( 37 )

生命とはなにか。

『生物と無生物のあいだ』福岡伸一

書評テレビ番組で見て読みたくなった1冊。
もっと踏み込んだものを期待していたのだが、その意味ではガッカリ。
全体として生命礼賛、ヒトが触れてはいけない領域もあるよねという戒め的な軸がある。
簡単に言えば、文才の有る科学者が書いた、分子生物学的な生命の存在論。
前半は人類がどうやってDNAを発見(認識)したか。
後半は生命とは何かを探る試み、と言って良いのかな。

細胞生物学に馴染みのない方々には、きっと新鮮で面白く感じるであろう。
少し齧っている私には物足りなさが残った。
というか、初歩的なことを誰にでも理解しやすく書いているから、しつこく感じた。
同じことを何度も繰り返しているのも邪魔に感じた。
逆に言えば、細胞だの分子だのを知らない人向けに書かれたもので、「難しそう」と敬遠する方々には手にとっていただきたい逸品。

この本の核心は第9章に集約されている。
他の章はオマケみたいなものだ。
なまじ文才があるばかりに、冗長な情景描写が続いてしまうのが残念。
科学者の業界裏話(ポスドクとか論文のベリファイとか)のようなエピソードもどうでもいいなぁと残念。
本のタイトルや煽り文句から受けるイメージとは、そこらへんが剥離している。
そういう余分を拭き取ってしまうと、本当に薄い本になっただろう。
でもこれを逆に言えば、文系頭の人にも読みやすいってこと。小説を読むように読める。
学者業界に興味がある人は、ちょっとそれを覗けるのが面白く感じるだろう。 

なんだか否定的なことばかり言って申し訳ない。
そうは言っても第9章と終章(第15章)の結論は大変に面白いですよ。
シェーンハイマーの提唱した概念(生命の動的な状態)を著者が更に発展させ、
動的平衡という概念で「生命」を説明しようとする。
そしてそれは魅力ある概念であり、納得させられる。

生命という何やら得体の知れないものが、本当に科学的メソッドで明らかになるものだろうか。
生命とはどのような物理現象であるのか。
誰もが疑問に思う。「生命」とは何か?
それは、とりもなおさず、「私」は何者であるのか?という哲学的問いと同義である。
「生命」という現象、ひとりのヒトとしての細胞のまとまり、この、継続した1個の自分。
これは何なのか。
どんなに明快に説明されたとしても、やはり不思議な歓喜と問いが湧き起こる。
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by neko-dama | 2008-01-21 12:23 | 猫の図書館/美術館

『ベオウルフ』読んだ。

東京は急激に冷凍された。なにやら今冬一番の寒さの期間だそうで。
あ~寒い。
自転車で映画館とか行ってられないよ。橋渡るのが寒すぎる!
観たかった『ベオウルフ』も終わってしまった。
でも続々と観たいやつが上映されてるので困る。

ベオウルフはもともと古英語の叙事詩で、8~10世紀ごろに書かれたらしい。
叙事詩は読む気にならないので、サトクリフ・オリジナルを読んだ。原書房、大好きだ。
イギリス文学だけど舞台は北欧(デンマークとスウェーデン)。
若いベーオウルフが、夜な夜な現れる怪物に悩まされている国に駆けつける第1部と、
その50年後に老いた身で竜退治をし力尽きる第2部から成り、一人の勇者の始まりと終わりを対構造で描いている。
2部の方はアーサー王物語にも通じるディティールが見られ、マロリーが影響を受けたに違いないなぁとも思った。(トールキンは言うまでもない)

勇者の割りに、ベーオウルフは謙虚で公正な人物として描かれている。
驕りがないとは言えないが、その分の理性がちゃんとある。
最終的には命を賭して民を守り、まさに理想の王として死ぬ。
そこに何か深いテーマがあるというわけでもないが、一人の男の生き様、始まりと終わりが描かれた冒険読み物として面白い。(強欲、母子といったテーマはサブかな、と思う)
サトクリフ・オリジナルなら読みやすいし話も短いので、3時間もあれば読める。
善き王のイデアというか、普遍的な冒険譚というか、そういうの。
本の値段が高い(1800円)ので、図書館で借りて読むのをお勧めするよ。
私は買ったけど。いいの、好きだから。原書房。

映画では「グレンデルの母」が妖艶な水妖って設定で美女アンジーが演じてるけど、
ここは映画オリジナル。
そんでもってこの水妖と後の災いは無関係なので、そこらへんの設定も映画オリジナル。
映画は映画として面白そうだ。
あぁ観たかった。美しいアンジーを観るだけでも価値がありそうだし。
早く暖かくならないかー。
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by neko-dama | 2008-01-15 18:00 | 猫の図書館/美術館

アーサー王は永遠に。

永遠の王 アーサーの書(上・下)

T.H.ホワイトのアーサリアン・レジェンド(アーサー王伝説)。
『永遠の王 アーサーの書』は4部構成になっているが、
幻の第5部「マーリンの書」が存在するのらしい。
残念ながら、私の持っている本には載っていない。
洋書"The book of Merlyn"をアマゾンしたので、そのうち読みます。
訳書は出ていないのかもしれない。原書房あたりが何とかしてくれないかな。

話のベースはマロリーの『アーサー王の死』に則っている。
しかしながら、キャラクターそれぞれの解釈は異なっているところが面白い。
例えば、ラーンスロットが醜男であったり、サー・ペリノアが滑稽だったり。
中には、自分の知っているアーサー王物語でのキャラクター解釈からズレていると不愉快になってしまう向きもいるだろうが、そこは”伝説”なんである。
舞台設定、話の筋、キャラクターいずれも如何様にでも解釈可能なのがアーサー王伝説の面白いところだと思う。

アーサリアン・レジェンドを知らなくても、物語として十分に楽しめるのも本書の魅力。
とはいえ、やっぱり少しは知っていたほうが何倍も楽しめるけど。
前半は突拍子もないファンタジーで、その奇天烈ぶりが非常に愉快。
魔術師マーリンは「時を逆に生きる」という無茶な設定で、本人でなくても頭がこんがらがるって。
あまり深く考えてはイケナイんだと思う、こういうのは。
あとロビン・フッドと親交を深めたり、動物の世界に潜入したりする子供時代のアーサーが描かれている。

中盤は、サー・ペリノアとサー・パロミデス&グラモアの掛け合いが秀逸。
ペリノアは前半でも出てきて、その人柄の良さと滑稽さを存分に発揮していたので
ペリノアが出てくるだけでなんだか楽しい気分になる。ヘイル!
そのペリノア王の友人、パロミデスの口調がまた独特。
サラセン人だから言葉が覚束ない、という演出なのか、いちいち台詞が面白くてたまらない。
「あなたの真実の友、腹になります。そうして以下のような声を出します。」
これは、クエスティング・ビーストに仮装しようと提案したパロミデスの言葉。
覚束ない言葉を笑っちゃいけないけど、何とも言えないおかしみがあるのだ。

物語が終わりに向かうにつれ、マロリーのように悲壮になっていく。
奇天烈さはなりを潜め、アーサーその人が引き起こした悲劇へと流されていく。
アーサリアン・レジェンドの肝はモルドレッド(モードレッド、ミルドレッドとも)の存在だろう。
モルガン(モーガン)とアーサーの許されぬ息子である。
この悲劇の柱のために王国は滅ぶのだ。
バーナード・コーンウェルのアーサー3部作でも、形を変えて、そこは踏襲されていた。

ホワイトのライフワークとも言える本書は、マロリーを楽しく書き換えただけではない。
戦いの意味を人に考えさせる小説でもある。
割合に正統派のアーサリアン・レジェンドであり、読みやすいので、アーサー始めにも良いかもしれない。
本書を読んだ後、マロリーを読むのも良いし、ジェフリーやクレティアンを流し読むのも良い。
コーンウェルの3部作はかなり異色だけれど最高に面白いので、自分の中のキャラクター解釈が壊れても気にしない向きにはお勧め。
あと男臭くてハードで洗練されていない時代が好きな方にもお勧め。

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by neko-dama | 2008-01-08 13:57 | 猫の図書館/美術館

サウスバウンド読んだ。

映画になったやつ。映画は観てない。
サウスバウンド、文庫本上下巻。

上巻の舞台が中野ってことで、ちょっと懐かしかった。
下巻の舞台は沖縄のほう。
元・過激派の父親に振り回される小学6年生の、父親再発見&世界を見る目成長小説。

全体的にダラダラとしていて冗長、散漫な小説。
上巻の2/3を過ぎるまでは、面白くなってこない。
小説としては面白くない部類。
ただ、読後感は爽やか。

無国家主義的な主義主張は、それなりの筋道がたってナルホドと思わされるが、
それに習おうとは思えない。
元々、ひとつの生き方として極端に描いているだけで、これを良しとしているわけではないだろう。
また、子供の視点で描くことによって過激さをマイルドにし、
中立的になる点は成功していると言える。
だが反面、子供世界のエピソードが(大人世界の縮図としてシンクロしているとはいえ)、
話を散漫にしている印象。
ひとつひとつのエピソードは面白いのに残念な感じ。

最終的にこの父親に好感が持てるのは、群れないからだろう。
自然保護団体や左翼、右翼と組まない。
お前たちと一緒にしないでくれ、という態度。
そして、勝つことが大事なんじゃなく、最後まで闘うことが大事だ、と息子に言うところも良い。

個人の自由とは難しい。
国という枠、法律という枠の中で生きるしかなく、また、それらに守られてもいるんだから。
この父親ほど極端でなくても、私たちは時に国家を疎ましく思うもの。
国民年金?健康保険?放っといてくれよ!なんて、思うことは誰でもあるんじゃないかな。
国家のために何もしないかわりに、国家に何も求めない、という選択肢は
今の私たちに許されてはいないわけだ。自動的に国家の枠組みに組み込まれる。

でも悪いのは国家ではなく、上層部が搾取していることなんだろう。
でも中国4000年の歴史を見ても、権力側は搾取大好き。
富める者は更に富み、持たざるものは更に貧しくなる。
国家・権力というものに、どうしたって搾取はついてまわるんだろう。

こういう問題は難しくて一口には言えないものがある。
搾取はなくならないだろう。
だが、搾取されている、という事実を認識するだけでも良いんじゃないかな。

私はナンダカンダ言って、日本が好きだし、恩恵を受けているとも思う。
まぁ税金の使われ方に業腹だったりもするけど。

映画のほうはどうだったのかな?面白くまとまっていたのかな?
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by neko-dama | 2007-12-26 18:56 | 猫の図書館/美術館

くま夫婦~販売中~。

毛布さん改め中央ヤンボルさんのブログくま夫婦が本になったよ。
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(ヤンボルさん、画像をお借りしました)

描き下ろしが55ページあって、今まで知らなかったくま夫婦の生態が垣間見れます。
内容は主にホノボノおかしい系ですが、じんわりくるものもありました。
webではカラーですが、本は白黒。でもwebで見てるから、白黒であっても色が浮かんできます。
惜しいなぁと思ったのは、収録順。
章立てされているのは素敵だったんですが、時間軸が前後しすぎちゃって違和感が。
次巻以降は、そのあたりのご配慮お願いしますです。
(次巻を出すようにプレッシャー)

まずはwebで。
面白かったら書店で手に取って。
買おうと思えたら買ってみたら良いと思うよ。

今後も楽しみにブログ読ませていただきます。
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by neko-dama | 2007-08-01 13:58 | 猫の図書館/美術館

空飛び猫。

最近ではゲド戦記でお馴染みの、アーシュラ・K・ル=グウィン女史の本。
『空飛び猫』catwingsは、表紙の猫の絵に惹かれて古本屋さんで買った。
翼の生えた猫!それも4兄弟だ。
挿絵を描いているのはS.D.シンドラー。私はよく知らない。
表紙の絵よりも、もっとずっと可愛い猫の絵が、中にはたくさん詰まっていた。

訳は村上春樹。
たぶん原作の平易な文章を日本語で自然に再現できているんだと思う。

どんな猫?
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by neko-dama | 2007-04-07 00:13 | 猫の図書館/美術館

夏への扉。

あまりにも名作なので、なんのかんの言うのも白々しくなってしまう『夏への扉』
原書を読んで、しばらくしてから邦訳を読んだ。
読みやすい日本語で、原書の雰囲気がちゃんと香っていた。
最後のページに出てくる『猫式浴室』はちょっとどうかと思ったが。浴室でなくて『トイレ』でいいじゃん。

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ピートってこんな感じかしら。もっとスマートなイメージか。

主人公は、途中からものすごく前向きになる。
というか、元々前向きな人なんだろう。最初痛い目にあいすぎてた。
諦めなければ、夏への扉は見つかる。見つけるために1歩1歩努力するだけなんだ。
読後の爽快感は、この主人公の、生きる態度によるものが大きい。
もちろん、タイムパラドックスの無さも気持ちが良いが。

でも、ひとつだけ気になってるんだけど、『Protean Pete』と命名されるはずだったナンでもロボが『Eager Beaver』だったのは何故なんだろうか?
何か読み落としてるのかしら。誰か教えておくれ!
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by neko-dama | 2007-02-24 19:41 | 猫の図書館/美術館

エルマーと竜。

池袋の駅構内で、新しいお店が始まった。
根津に本店がある、こはぎや本舗茶茶というお店なのらしい。
そこには、ごまちいふ、という豆腐と白胡麻のババロアみたいなお菓子が売られていた。
ベースはそのババロアみたいなプルンで、その上にゼリーがのっている。
グレープフルーツやマンゴー、珈琲などなど。

でも、本当に私がそのお店に目が釘付けになったのは、お菓子のせいではなかった。
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青と黄色の縞柄の竜。
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by neko-dama | 2006-06-12 20:41 | 猫の図書館/美術館
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うん、マックで読んできたニャよ。
食べてるあいだ、机の上に置いていたら、通りがかりの店員さんに睨まれたニャよ。

(以上、マダナイの報告でした)

『30日間マクドナルド生活』
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by neko-dama | 2006-05-31 21:22 | 猫の図書館/美術館




「書籍版 30日間マクドナルド生活 案内ページ」
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ヨロシクね!!!
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by neko-dama | 2006-05-16 00:04 | 猫の図書館/美術館